オフサイド
榊くんは、ぺたっと砂の上に腰を下ろした。 


足を伸ばし、両手をパンと広げて置くさまは、見ていて気持ちよさそう。 


洋服が気になったけど、榊くんに倣って私もその場にしゃがんだ。 


肌を擦り抜ける風が心地いい。


初夏を思わせるこの陽気に、この景色が、ここ数ヶ月の鬱陶しい気分を跳ねのけるようだった。 



――と、目の前に黄色いボールがコロコロ転がってきた。 


すっと拾うと、走り寄ってくる小さな男の子に「行くよー!」と緩やかに投げ返した。


ナイスコントロール!


「ありがとう」


ニッコリ笑うと、男の子はパパやママの元へ走って行った。 


「そういえば、榊くんっていつからサッカーやってるの?」




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