オフサイド
足元の砂を手に取りながら、二人が親しくしている様子を想像してみた。 


榊くんが言うように、裕也も榊くんと同じ気持ちを抱いていたとしたら……? 

私のしたことは間違っているんだろうか。 


分からない。 


分からないけど、あのときはああするしかなかった。 

あれ以上、裕也の心に入り込み、引き留めることなんて無理だった。


できなかったよ……私には。 


「あっ!何か、変な想像してる?言っておくけど、俺はホモじゃないからね!」

「ホモ!?わかってるよ、そんなことぐらい!」


榊くんが思いも寄らぬことを言いだすものだから、緊張が解れ、笑いが止まらなかった。


顔に似合わず、案外、面白いことを言うんだね。




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