オフサイド
「でも、ある意味、ホモと思われても仕方ないな。あいつは男の俺から見てもカッコいいからな!」


口をあんぐり開けて、榊くんを見つめた。 


「そんなに驚いた顔しなくたっていいじゃん!」 


……はっ!しまった。


慌てて、口元を両手で押さえた。


「俺もあいつも目指すところは一緒。裕也の夢は知ってる?」 


「うん。ワールドカップに出場すること、だよね?」


小さく頷いた榊くんは、そのまま遠くを見つめた。



彼に合わせ、私も目の前の海で戯れる子どもたちに視線を戻した。 



「将来、日の丸のユニフォームを着て、ピッチに立つこと。
トレセンに選抜された奴らは、それなりに能力があるから、みんな同じような目標を抱いていた。俺も裕也も一緒だった」


うん。確かに、裕也には夢があった。


いつか、あの大きな舞台に立ちたいと。


「その夢により近いポジションにいた俺たちは、大概、私立かユースに上がったんだ。でも、あいつだけは違った。ユースの誘いも蹴って、おまけに私立でも何でもない、県立の鹿見を選んだ。それを聞いたときは驚いたけど、あいつらしいなぁと思ったよ。監督さんに惚れ込んで、どうしても……と九州まで行ったんだからな」 




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