オフサイド
二年前、突然、知らされた裕也の転校騒ぎが思い出された。


耳を疑うような出来事に、信じられなくて。 


いつも近くにいた裕也が、遠い九州に行ってしまうなんて……


驚きと悲しさと、でも、頑張ってもらいたい気持ちとで、私の心中は複雑だった。 


『頑張れよ!』
『サインくれよ!』


そう励ます同級生とは裏腹に、自分のことしか考えられなかった私。 


――どうしてそんな遠くへ行ってしまうの?


言いたくても口にできなかったあの日。


裕也の活躍は素直に嬉しいし、裕也が夢を追い掛ける姿は、私にとっても励みであったはずなのに。


やっぱり、我儘だったのかな……私。


今更ながら、夢を追う裕也を心の底から応援できずにいた自分に辟易する。




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