オフサイド
ファーストフード店での昼食を終え、時計を見ると、もうすぐ3時になろうとしていた。


時間を忘れ、ずいぶん長いこと二人で過ごしていたようだ。


4時から練習のある榊くん。そろそろ帰らなきゃ!



混雑する帰りの電車の中では、心地よい揺れと疲労感で、急激な眠りに襲われた。 


偶々空いた長椅子に二人で腰を下ろし、会話を続けているうち、目の前が霞んできた。



端っこに座った私は、手摺りにもたれるようにそのまま身体を預けた。 



ガクン、ガクンと激しく上下する頭に、時折、ビックリして目を開けた。



榊くんと目が合い、恥ずかしくて苦笑いを浮かべた。


必死で堪えようとするけれど、強敵な眠気には、やはり勝てなかった。 




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