オフサイド
カクンと、頭をうなだれたときだった。 



―――…!! 



「やだッ!ごめん。ホントにごめんね」



今ある状況にひどく驚き、榊くんに何度も謝った。 


「涎、垂れてるよ!」 



「うそッ!いや、恥ずかしい!」 



慌てて口元を押さえ、拭き取る真似をした。 



やだッ、どうしよう。榊くんの肩に寄りかかっただけでも恥ずかしいのに、涎まで垂らすなんて。


俯いたまま、顔を上げられない。



「冗談だよ。涎なんか垂らしてないから安心して?もうすぐ着くよ!」



「……ホントに!?」 



「あぁ」と、頷く榊くんを見て、「よかった」と小さく声を漏らした私は、安堵に包まれた。  




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