オフサイド
「今のは、魔除け!」
「魔除け?」
「そっ!別名・男除け。
本当は唇にしたかったけど、それはまた今度な」
……ドクン。
悪戯っぽく笑いながら私の頭に掌を乗せると、
「さぁ、行こうか!」と、席を立つよう促した。
デッキに立ち、扉が開くのを待っている間、涙が零れ落ちそうになり、唇をギュッと噛み締めた。
永遠の別れのように感じて……。
「菜摘……元気でな」
デッキの一番後方で、視界から遠ざけるように裕也に抱き締められた私は、彼の胸の中で静かに泣いた。