オフサイド


「いらっしゃいませ!
こちらのお弁当、温めますか?」


「はい」


レジの後方にある電子レンジの扉を開け、弁当を入れるとタイマーを合わせ、再び、客に向き合った。


――チン♪


温め終了の合図が鳴り、レンジから取り出し、湯気の出た弁当をレジ袋に入れ、客に渡そうとした。


「お待たせしました」


「あのー、割り箸が入ってないんですけど」


「あっ、すみません!
こちらになります。申し訳ありませんでした」


ペコリと頭を下げる。


あーあ、またやっちゃった。

でも、今日はまだマシな方かな。


この前なんて、お弁当に添付されていたソースやマヨネーズも一緒に温めたら爆発しちゃったし…。


今日も私は、慣れないレジ係だ。



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