オフサイド
 

「ふうっ」


二人が店を出て行った途端、安堵の溜め息をついた。 


奈緒とは、去年の文化祭での一件から、なんとなくギクシャクしたままだった。


執拗な嫌がらせはなくなったものの、奈緒の視線から意識的に目を逸らしてしまうことも度々あった。


『気の合わない人とは、無理して付き合わなくていいんだよ』


友達はみんなそう言うけど、私にはちょっと難しい。

できることなら、みんなと仲良くしたいから。 


でも、一度拗れた関係を元に戻すのって、めちゃくちゃ大変だな。
 

奈緒とは喧嘩したわけではないけど、榊くんを巡って互いに行き違いもあって、あれから話しづらくなっていた。 


ほんと、人間関係って難しい。 



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