オフサイド


「お待たせ!」 


こうして、二人とゆっくり話すのも久しぶりだ。


二人とも部活をやっているから夏休みもほとんど学校に行っている。 


由香里から私のバイトの話を聞いた二人は、時々、部活の帰りにこうやって顔を見せてくれるんだ。 


裕也と別れたものの、何かにつけ二人は私のことを気にかけてくれた。


「バイト代、貯まったらどうすんの?」 


「うーん、まだ決めてない」 

「なら、俺らに分けてくれてもいいよ!な、真吾?」

「あぁ。菜摘ちゃんの奢りで、焼き肉パーティーってのもいいけどね」


「えー、やだ、そんなの!」

事実、使い途など決めていなかった。


暇を持て余していた時間をバイトに充てただけなのだから。  



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