オフサイド


二人は遠回りして、私の家の近くまで送ってくれた。 

ここは、去年の夏、裕也と一緒に通ったあの道だ。 

幹線道路から一本入っただけで、静かな遊歩道。 


「ここからなら菜摘ちゃんち近いよな?一人で大丈夫?」 


自転車で5分も走れば、自宅だ。


「うん。全然平気!
だって、いつも一人で帰ってるんだよ!二人とも過保護だから」 


「あははは。そうかもな。俺ら、なんか菜摘ちゃんのことになると過保護になるもんな」 


「ま、保護者ってことで、何かあったらいつでも言ってね。俺らが力になるから」 


「うん、ありがとう。
じゃ、またね!」


二人と別れた私は、気分よく家路へ向かおうとした。


そこに、待ち受ける恐怖があるとも知らずに――。 



< 331 / 362 >

この作品をシェア

pagetop