オフサイド


緑の多いこの抜け道は、蝉たちの大合唱が喧(かまびす)しい。


鳴くから暑いのか、暑いから鳴くのか。


入道雲が輝いて、その音量はますます上がる。


まさに、夏!という感じだけど、耳を塞ぎたくなるほどの鳴き声には、ちょっとうんざりする。


風がいくらか出てきた。

頬を擦り抜ける風が心地よい。


木陰に入れば、昼間の暑さが少しだけ和らいだような気がする。


この道は、私にとって特別な道。


だって、裕也との思い出がいっぱい詰まっているから。


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