オフサイド
「そんなに怖がらなくてもいいじゃん。嫌がるようなことなんてしないからさ」
唇を押し付けようとする男から、咄嗟に顔を背けた。
「おいおい。あんまり焦らさないでくれよ。俺、気が短いんだからさぁ」
シルバーのリングが嵌められた大きな手で、ぐいっと顔を正面に押し戻された。
間近に迫る男の顔。
そのとき、胸元できらりと何かが光った。
――あっ!あのときの……。
ひんやりとした男の手が、Tシャツの裾から延びてくる。
ゾクッとした。
「いや……お願いだから」
「そんな顔されたらますます興奮してくるね。大丈夫だよ。おとなしくしてたらすぐに終わるからさ」
「やめ…て……おねがいだから…やめて……」
泣きながら懇願するけれど、男は全く相手にしようとしなかった。