オフサイド
榊くんと私の背中を照らしていた真っ赤な夕陽も木々に阻まれ、姿を隠した。
代わりに、通りからはトラックの往来を示すファンファンという音が谺した。
それに包まれるように家へ帰る道すがら、二人の間に会話らしい会話はなかった。
「ここでいい?」
「えっ?う、うん」
気付けば、家のすぐそばまで来ていた。
「ここからなら一人で大丈夫?」
「……うん、すぐそこだから。今日は本当にありがとう」
「何かあったらいつでも相談してね」
コクンと頷いた私は、目の前に見える、見慣れた白い塀の中へと入って行った。