オフサイド
「じゃあ、行ってくるね!」
「なるべく遅くならないようにね」
「わかってる」
マフラーを巻いてスニーカーを履くと、私は静かに玄関のドアを閉めた。
「あ、年賀状もう来てるかなぁ」
郵便ポストを覗き、自分の年賀状だけ取り出すと、無造作にバッグにしまい込んだ。
手袋を嵌め、車庫の隅に停められていた自転車に跨ると、頬を切るような冷たい風が容赦なく襲い掛かってきた。
寒さのせいで、耳からこめかみの辺りがキーンとして頭が痛くなった。
「さむーい!!」
悲鳴を上げながらペダルを扱ぐ足に力を入れ、待ち合わせ場所まで急いだ。