オフサイド
「はー、お腹空いた!
さっ、食べよう!いただきま〜す!」
お弁当箱の蓋を開けると、秋の味覚がぎっしりと詰められていた。
栗ご飯に秋刀魚のカレー風味、きんぴらごぼうにかぼちゃの煮物。
昨日の残り物も入ってるけど、朝からお母さん、随分がんばってお弁当作りしたな。
でも、大貴はきっと物足りないだろうな。
『肉が入ってない!!』とか言って、今ごろ大騒ぎしていそう。
「ねぇ、ちょっと聞いてくれる?」
「……ん?どうしたの?」
かぼちゃを口に含んだまま、私は答えた。
お弁当の卵焼きを箸で摘んだ薫はいつになく元気がなかった。