オフサイド
出店の屋台から焼きそばやイカ焼きの香ばしい匂いがぷーんと漂ってくる。
昨日まで、おせち料理やお雑煮ばかりの食事だったから、自然とこうした匂いに誘われてしまう。
出店の方に顔を向けているときだった。
「お腹空いた?何か食べたいものでもあるの?」
冷やかすように真吾くんが聞いてきた。
「ううん、空いてないよ。ただ見てただけ」
真吾くんの突っ込みを軽く躱したけれど、内心焦った。
もしかして、見透かされてる?
素直じゃないよな、私……。
「あっ!そういえばさ、この前の名古屋はどうだった?」
「……えっ?」
突然の修くんの言葉に固まった。