オフサイド


さまざまに駆け巡る情況について二人はゆっくりと話してくれた。
 

「いろいろあったけどさ、もうそんなのチャラだよ!」


「チャラ?」


「そう。だって、あの日、菜摘ちゃんは自分の意志で東京駅まで行ったんだろう?それが答えなんだろ?おまけに、新幹線に乗っちゃうし!」


「あれには、俺らもビックリしたけどね。もしかしたら来てるかも…とは思ったけどさ!」


二人の会話に苦笑いを浮かべた。 


確かに、冷静になってみるとすごく大胆なことをしたと思う。 


あれで、裕也に拒まれていたら…と思うとゾッとする。


そんなことになっていたら、今頃きっと自分の行動に後悔し、気を揉んでいる日々だったと思う。


今となっては、あの選択は間違っていなかったと思う。 


「裕也なら心配いらないよ。菜摘ちゃんしか見えてないから」


「そうそう。あいつは一途な男だから」


二人の優しい言葉が、静かに胸に染み渡る。 



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