オフサイド


「あっ…!
由香里ちゃん、みーっけ!」


真吾くんが指差す方を振り向くと、白いコートを羽織った由香里が、こちらに向かって歩いてくる。 


大きく手を振ると、私たちに気付いた様子で小走りに駆け寄った。


「ごめん、遅くなって」


「ううん、大丈夫だよ。由香里がいない間、二人に話相手になってもらってたから」


クスッと笑うと、由香里も「よかったね」と笑った。


「おい、由香里!なんか、忘れてねぇか?」


「忘れ物……?別にないけど」


「正月なんだから、しっかり挨拶しようぜ!」


「修は、いちいち煩いなぁ。  では皆さん、あけましておめでとうございます!今年もよろしくね!」


「「おめでとう!!」」


「仕方ねぇから今年も由香里の面倒見てやるよ!」



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