オフサイド
「きゃーっ!!」
「うわーっ!!」
一人蹴るごとに、太鼓やメガホンの力強い音とともにスタンドから沸き起こる歓声と溜め息。
テレビを通しても、その緊張感が伝わり、鳥肌が立つほどだった。
結局、5人全員がシュートを決めた裕也の学校が、PK戦を制した。
スタンドの応援団と一体となり、飛び上がって喜ぶ彼らの姿を見ていたら、胸がいっぱいになった。
翌日の決勝戦でも、連日の疲れを見せず、見事勝利を収め、三度目の優勝に輝いた鹿見高校。
裕也もこんな華やかな舞台でサッカーをするんだ…と思うと、何とも言えぬ誇らしい気持ちになった。
と同時に……
私の手の届かない、どこか遠い世界へ行ってしまいそうで目に見えない不安にも駆られた。