オフサイド
3学期が始まり、3年生の教室は、どこも受験の雰囲気に包まれていた。
教科書の学習内容を終えた教科から順に、自習時間が増えていった。
私立単願組や推薦組は、着々と進路を決定していく。
私も気合いをいれて頑張らなきゃ、という気持ちはあるものの、どこか身が入らない。
暇さえあれば、裕也のことを考えてしまう。
あれから裕也とは、時々電話で話しているけれど、
通話料金がかさむ上、親の目もあってなかなか思うようにいかない。
電話では、顔が見えないから伝えたいこともうまく伝わらないし……。
受験への焦りと不安の中で、裕也への想いは募るばかりだった。