オフサイド


渋々、みんな自分の席に戻り始めた。


教室のあちこちで、シューズを滑らせる音や机や椅子を引く音がする。


それを確認した先生は、こう切り出した。


「実は、つい先程、裕也の転校先の校長先生から連絡があった」


「えー、裕也の?」


「何、なに?何があったの?」


ドクン、ドクン……


突然、先生から発せられた愛しい名前に心臓が騒ぎだす。


心を落ち着かせようと、両手を机の上で交差させ、先生の次の言葉を待った。


「落ち着いてよく聞けよ!   裕也だが、第一志望の鹿見高校に合格したそうだ!」


「えー、マジで?」


「裕也、すげえ!」



< 50 / 362 >

この作品をシェア

pagetop