オフサイド
渋々、みんな自分の席に戻り始めた。
教室のあちこちで、シューズを滑らせる音や机や椅子を引く音がする。
それを確認した先生は、こう切り出した。
「実は、つい先程、裕也の転校先の校長先生から連絡があった」
「えー、裕也の?」
「何、なに?何があったの?」
ドクン、ドクン……
突然、先生から発せられた愛しい名前に心臓が騒ぎだす。
心を落ち着かせようと、両手を机の上で交差させ、先生の次の言葉を待った。
「落ち着いてよく聞けよ! 裕也だが、第一志望の鹿見高校に合格したそうだ!」
「えー、マジで?」
「裕也、すげえ!」