オフサイド
明るいブラウンの髪の毛が夕陽に照らされ、さらに明るさを増した榊くん。
長めの前髪から見え隠れする瞳からは、表情まではよく分からない。
「あっ!紹介するね。
俺は山下修。で、こっちが榊恵介。俺たち同じクラスなんだ」
「そっか。えーと、私は佐伯菜摘で、こっちが……」
「斎藤薫です」
と、ペコッと頭を下げた薫は可愛らしい笑顔を二人に向けた。
他愛ない話をしていると、下り電車が入線するアナウンスがあり、スピードを緩めた電車が私たちの待つホームに到着した。
降りる人に続いて、そのまま四人で混雑する車両に乗り込んだ。
「こっちこっち!」
たまたま開いていた座席に薫と私を座らせた修くんと榊くんは、吊り革に掴まりながら私たちの目の前に立った。