オフサイド
ベンチに座っているときは気付かなかったけど、榊くんは長身の修くんよりも背が高かった。
そんな私たちの会話を、榊くんは黙って聞いているばかりだった。
なんとなく彼のことが気になったけど……
話すタイミングはもちろん、話す話題も見つからなくて、下車する駅まで3人だけの会話が続いた。
時折、修くんが話を振るけど、彼の反応はあっさりとしたものだった。
後に、この出会いが、私の高校生活に大きな変化をもたらすことになるなんて、このときは微塵も思わなかった――。