オフサイド


バスを降り、人の流れに沿って駅の改札口を目指す。


隣には……榊くんがいた。 


乗車する駅も下車する駅も同じ二人。


成り行きとはいえ、この状況に正直困った。 


一緒に歩いているのに、ずっと黙っているのも何か不自然で、共通の話題を必死で探した。 


―――…!! 



「そうそう、修くん元気にしてる?」


「あぁ」


「部活、頑張ってる?西高も朝練なんてあるの?」


「あぁ」


さっきから『あぁ』ばっかりだし。もう少しなんとか言ってくれたらいいのに……。 


もしかして嫌われてるの、私? 



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