オフサイド
食い入るように流れる車窓からそれを見ていると、不意に榊くんが話し掛けてきた。
「興味あるの?」
「えっ?……うん。興味っていうか、あの学校、サッカー強いよね?」
「あぁ。選手権大会準優勝だからな」
――そう。東南学園は、お正月に行われた選手権大会で、裕也の学校と決勝戦で戦ったチームだ。
県予選を勝ち抜くだけでも大変なことなのに、その頂点に上り詰めるには、どれだけの努力が必要だろうか。
夜間照明やクラブハウスなど、施設や環境に恵まれた東南学園。
父母会・後援会という潤沢な資金があるため、より恵まれた条件の下、サッカーに集中できる彼ら。
一方、裕也のような公立高校とでは、環境面で雲泥の差がある。
遠征試合に行くにも、経費を削減するため、監督が自らマイクロバスを運転していると聞く。
こんなところにも、格差社会を感じてしまう。