オフサイド
「あの学校の子たちって、恵まれてるよね?」


「そう?別にそう思わないけど」


「えっ……だって、お金持ちの家の子ばかりだし、練習する環境が揃いすぎてると思うんだけど」


裕也の置かれた環境と比較し、つい力が入ってしまう。 


「ふーん。じゃ、あいつらは金があるから強いと思ってるの?」


「えっ?別にそういう意味じゃないけど…」


言葉に詰まる。


榊くんとの会話に居心地の悪さを感じ、話題を変えようとしたときだ。 


「実力がある奴は、どんな環境に置かれても強い精神力でやり抜くよ」


「………」


明るいブラウンの髪の毛からは想像できない正当論に、ぐっと胸を掴まれたような衝撃が走った。



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