オフサイド
「……遠距離?」
「うん」
一瞬、驚いた顔をした薫だった。
でも、すぐさま顔をパッと明るくさせた。
「カッコいいじゃん!遠距離恋愛なんて憧れちゃう!」
背中をバシバシ叩き、羨ましいと連発する薫。
確かに彼氏はいるけど、みんなのようにラブラブなわけではないし……。
一緒に帰るのはもちろん、手を繋いだり、デートすることもできない。
ちょっぴり複雑な心境だ。
でも、話を聞いた薫は、誤解を解いてくれ、さらに榊くんへの想いを強くしたようだった。
「はっきり彼女がいないと分かったし、頑張るぞー!」
恋する少女の目をした薫が、とても可愛らしかった。