オフサイド


制服姿の学生で混雑する夕方の駅。  


吹き出る汗を拭いながら、西高のチェックの制服を探し出す。 


こうして、薫と二人で榊くんを待ち伏せして3ヶ月になる。


互いに簡単な自己紹介はしたものの、いまだ榊くんについては謎だらけだった。 


抜群の情報網をもつ薫によると、本人が言うように、やはり彼女はいないらしい。 


中学時代もモテモテだった榊くん。


でも、他を寄せ付けないオーラを放っていたとか。


男子とは話すけど、女子と笑って話すことなんて、ほとんどなかったらしい。


あれだけ整った顔立ちをしているというのに…… 


もったいない。


というより、やっぱり不思議な人だ。 



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