オフサイド
驚きのあまり、しばらくの間、凝視していると、「何?」と聞かれ、慌てて首を横に振った。 


やっぱり、掴めない人だ。 


「菜摘、やっぱりダメ?」  


薫が再三に渡って誘ってくるけど、榊くんの援護もあって、「ごめん」とはっきり断った。 


薫は考えるような素振りを見せたけど、「わかった」とだけ答え、「自分だけ行く」と言い出した。 


……えっ?!


他校の人たちと、おまけに男子ばかりなのに、何を言い出すんだろう。 


「……ほんとに?」


「うん。帰ってもどうせ暇だし、田口くんと帰る方向が一緒だしね!」 


……あっ!田口くんって言うんだ、彼。


でも、本当に一人で大丈夫なの?



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