オフサイド


ホームへ辿り着くと、額から汗が噴き出て、頬っぺたは熱を帯びていた。


隣にいる榊くんは、涼しい顔をしている。


自分だけ汗を掻いているのが恥ずかしくなり、ササッとハンドタオルで汗を拭っていると、ちょうど青色の電車がやってきた。 


車両の真ん中のドアから乗り込み、長椅子の前に二人で並び、吊り革に掴まった。


こうして、二人で電車に乗るのは、あの雨の日以来だ――。


会話らしい会話も見つからず、手持ち無沙汰な私は、バッグから英語のテキストを取り出した。  


期末テストは終わったけど、来週には模試が迫っている。 


今現在の実力を知る、大学合格判定テスト。


1年生とはいえ、このあとの数回の模試の結果で、2年生からのクラス分けに繋がるから気が抜けない。



< 96 / 362 >

この作品をシェア

pagetop