オフサイド
電車の揺れに耐えながら、テキストを捲るのもなかなか大変だ。


おっ―とっと!


電車が減速したときだった。

視界の隅に写る文字に動きが止まった。 


―――…!! 



「それ……」


「ん?これ?」


コクンと頷くと、榊くんが手にしている雑誌に、再び、視線は向かった。


「榊くんもサッカー雑誌とか読むの?」


「そうだけど」


その雑誌は、裕也がよく読んでいた月刊誌『サッカーマガジン』だった。


お正月の選手権大会のあと、私も本屋に走り、買い求めた経緯があった。


まさか、榊くんもサッカーに興味があるなんて、思いも寄らなかった。 



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