オフサイド
「榊くんもサッカー好きなの?」
恐る恐る尋ねると、何を思ったのか、榊くんが笑いだした。
「俺がサッカーするのが、そんなに意外?」
「えっ?そんなつもりじゃないけど……」
広げていた雑誌をバサッと閉じると、表紙をこちらに向けた榊くんは指を差した。
「ここに写ってる人、俺の先輩」
「……先輩?」
「そう。クラブユースの先輩で現役Jリーガーの渡辺さん!」
「クラブユースって……まさか、榊くんサッカーやってるの?」
「あぁ」
「えぇー?!」
驚きのあまり、悲鳴に近い声が出て、慌てて口を押さえた。