太陽が見てるから
よし。


あと、3イニング。


ボールを握り締める。


セットポジションに入る。


切れの悪いスライダーが、健吾のミットに浅く吸い込まれた。


痛い。


やっぱり、肩が痛い。


でも、ギリッと歯を食い縛り、おれはこの回を投げきった。


走者は出ていたものの、村上のダイビングキャッチ、イガと岸野のコンビネーションで、ゲッツー。


南高内野陣の執念の守りで、桜花に点数を与えずにマウンドを下りた。


その好守備の裏、ついに、南高が逆転の1点を手にした。


塁に出ていたのは村上で、岸野が打者。


監督からのサインは、スクイズ。


桜花のリリーフ投手の指からボールがリリースされた瞬間に、3塁から村上が突っ込んできた。


岸野の放った一打は、三遊間を浅く抜けて、セーフ。


桜花
042 010 0
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
000 043 1




7回裏が終わって、桜花7―8南。


あと、2イニング。


あと2回、この1点を守り抜く事ができたら、おれたちは決勝戦の切符を手にする。


まあ、そう簡単に桜花が勝たせてくれるなんて、思わないけれど。


8回は投手戦となり、しかし、9回。


またしても試合が動いた。


9回、表。


桜花の攻撃。


ワンアウト、2塁。


低めに投じたはずの直球が高めに浮き、桜花の左打者に捕まった。


大輝と勇気のど真ん中を深く、長く突き抜ける3塁打。


桜花は、試合を再び振り出しに戻した。


先制され、加点され、反撃して、同点まで競り積めた後の、さらなる同点劇。


しかも、最終回だってのに。



< 306 / 443 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop