Bizarre Witch~猟奇的な魔女~
第1章 魔女
1.散歩と魔女
家の田舎の冬は寒さが厳しい。
そりゃ冬なんだから寒さが厳しいのは当たり前かもしれないが、ここは東北しかも山裾に近いということもあり、一段と冷える。
しかし、2月1日を迎えた今日も雪はコンクリートをうっすらと正に雪化粧した程度のものでしかない。
年々降雪量が減っているように感じていたのは確かなようだ。
俺、一ノ瀬 翔(いちのせ しょう)は浪人1年生。いや、センター試験に失敗したため、事実上は二浪生になるのかもしれない。志望は農学部。志望理由は漠然と微生物や細菌に興味があるからというもの。
ただどんなに勉強が忙しくても欠かさず毎日続けてきたことがある。
それは散歩。
と言っても愛犬の散歩である。まだ暇だから近所の散歩に行くってほど心は老けていない。まあそれは偏見なのかもしれないが。
愛犬の犬種はゴールデンレトリバー。名前はマフ。オス。13歳。人間の年に換算すれば70歳を超えるおじいちゃん犬だ。近頃は立ち上がるのに難儀しているが、いざ散歩に出ると俺を引っ張り翻弄するほどで、かなりまだ元気だ。
現在時刻は午後4:30を回ったところ。いつもこの時間に散歩にマフを連れ出す。コースは家の裏手の道路に出て、住宅街を囲むように周り、家の正門に帰ってくるというのがAコース。他にもB、Cとあるが、今日はオーソドックスなAだ。
何がオーソドックスなんだと言われても、それは……俺が勝手に決めた。
夕日が山頂にぴたりとくっついていた。
家の裏手に広がる見渡す限りの田んぼがオレンジに染まっている。コートを羽織っているものの、首元から時々侵入する冷気に小刻みに震えていないと気がすまない。
そりゃ冬なんだから寒さが厳しいのは当たり前かもしれないが、ここは東北しかも山裾に近いということもあり、一段と冷える。
しかし、2月1日を迎えた今日も雪はコンクリートをうっすらと正に雪化粧した程度のものでしかない。
年々降雪量が減っているように感じていたのは確かなようだ。
俺、一ノ瀬 翔(いちのせ しょう)は浪人1年生。いや、センター試験に失敗したため、事実上は二浪生になるのかもしれない。志望は農学部。志望理由は漠然と微生物や細菌に興味があるからというもの。
ただどんなに勉強が忙しくても欠かさず毎日続けてきたことがある。
それは散歩。
と言っても愛犬の散歩である。まだ暇だから近所の散歩に行くってほど心は老けていない。まあそれは偏見なのかもしれないが。
愛犬の犬種はゴールデンレトリバー。名前はマフ。オス。13歳。人間の年に換算すれば70歳を超えるおじいちゃん犬だ。近頃は立ち上がるのに難儀しているが、いざ散歩に出ると俺を引っ張り翻弄するほどで、かなりまだ元気だ。
現在時刻は午後4:30を回ったところ。いつもこの時間に散歩にマフを連れ出す。コースは家の裏手の道路に出て、住宅街を囲むように周り、家の正門に帰ってくるというのがAコース。他にもB、Cとあるが、今日はオーソドックスなAだ。
何がオーソドックスなんだと言われても、それは……俺が勝手に決めた。
夕日が山頂にぴたりとくっついていた。
家の裏手に広がる見渡す限りの田んぼがオレンジに染まっている。コートを羽織っているものの、首元から時々侵入する冷気に小刻みに震えていないと気がすまない。