Bizarre Witch～猟奇的な魔女～

マフは寒さに固まる俺とは正反対に盛大に動き回っていた。道路わきの僅かな草の上に寝転がり、ゴロゴロゴロゴロ背中を撫で付けている。


「なに？背中痒いの？」


そう声をマフに掛けると、のっそりと、今までのリズミカルな撫で付け行為とは裏腹な緩慢な動きで起き上がると、ブシュンとくしゃみをして、また歩きはじめる。











「おい。だから端を歩けっつうの。おい、コラ」


一つマフは困った行動をする。なぜかコンクリートの道ではわざわざ道路の真ん中を歩こうとするのだ。リードを引いて道端に戻そうとすると体を反対に傾け、頑として動こうとしなくなる。


「またかい。ったく」


俺は悪態を吐くと前後から車が来ないことを確認する。まあ田舎町の一道路なので車の通行量は少なかった。


仕方なく俺はマフに道路中央通行を認める。すると嬉しそうに、そしてどこか胸を張ったように歩く。


あちこちにマーキングを残し、Aコースの折り返し地点を過ぎた頃だった。