Bizarre Witch~猟奇的な魔女~
異常気象は無いだろ、と思わず吹き出してしまう俺。


「なに?なんか文句でも?」


と、あまり迫力のない、というより迫力を出せない口調で俺を睨む。


「あ、いや、なんでも。ただアメリアさんの口から異常気象なんて言葉が出てくるとは思わなかったんで」


フンと、鼻を鳴らしそっぽを向いてしまった。


仮にも自らを異世界からの守護者だと名乗ったアメリアだったが、その様子は普通の女の子と大差なかった。


「じゃあ、なんか、麦茶でも持ってきます」


何も返事をしないアメリアだったが、正直、一旦俺がこの場から居なくなるのに一息つけるのではないかと思った。


和室を出て、祖父母の台所の冷蔵庫を開ける。そこから麦茶の入った容器を取り出し、あらかじめ用意していた二つのコップに茶色の液体を注ぐ。お盆は使わない。


アメリアが恥ずかしさを繕うためになるべくゆっくりと飲み物の用意をした。


そして再び和室に戻ると、またも想定外の出迎えを受けることになった。


アメリアはよほど暑かったのか裾が異常に長い黒のコートを脱いで、後ろのソファーに掛け、ノースリーブだったらしい胸元の大きく開いた上着を晒していた。


俺は冷静を装ってアメリアの目の前に麦茶の入ったコップを置いた。


内心、今の姿も相当に恥ずかしいと思うのだが、アメリアからはそんな様子は伺えない。堂々としたものだ。


ただ、アメリアの鮮やかな黒く長い髪が白い肩に掛かっている様子やコップを握るこれまた白く細い指が男には無い女性独特の美しさがまじまじと俺に主張してきた。


やばい。なんだか詩人みたいな表現になっちまった。


自分で思っといて、恥ずかしい。

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