初恋
「え?!グラウンドの花壇にいる女?」
「ああ、知らない?」
「知らないよ。美化委員なんかじゃねえの?なんか薄気味悪いな」
彼は同じサッカー部の八代だ。
「美化委員!うちのクラスって誰だっけ」
「ああ、斎藤じゃねえの」
彼女に聞いても知らなかった。
健人は毎日同じ時間に花壇に行った。
しかし、美化委員にも花壇でも彼女は見つけられなかった。
それから2週間が経ち、
いつもの様に花壇に健人が行き、買った花を植えた。踏んだ花は無くなっていたので、新しく植えたのだ。
「それ、違う花よ」
健人が振り向くと、彼女がいた。
「―あ…!」
「同じパンジーだけど種類が違うの」
「良かった…ようやく見つけた」