初恋
「君に謝りたくて、あとお礼も」
「どうして?」
「まず、花を踏んだりしてごめん。これからは絶対、花壇は避けて通るよ。
あと、サッカー、初めてレギュラーになれた。
君のアドバイスのお加減だよ」
彼女は黙って花の手入れをしていた。
「ねえ君、名前は何て言うの?何年生?」
「私は知ってるわ。
宮本健人君、3年B組」
「え、本当に?何で知ってるの?」
「だって、目立っているもの。」
健人は一気に舞い上がってしまった。
「ここから、良く見えるの。あなたはいつも一人で最後まで練習していた」
更に顔が赤くなったのが分かった。
彼女を見ると西陽の光が反射して、輝いて見える。
「また、会える?」
彼女はゆっくり微笑んだ。
―天使なんかいるわけはないが、いたとしたらこんな微笑みをするのだろう。
健人は本気でそう感じた。