初恋
夏休みに入り、聖美と花壇で会うことが出来なくなった。
受験生なので、健人は塾に通うことになった。
憂鬱な受験勉強と裏腹に、心は夏祭りのことで一杯だった。
―夏祭り当日、
駅で彼女を待っている間、健人は今までにない位緊張していた。
周りはものすごい人混みで浴衣の女性が多い。
(もしかして、百瀬も浴衣来てくんのかな…)
ドキドキしながら聖美が来るのを待っていた。
そうこうしている間に、待ち合わせの時間が過ぎていった。
この人混みだから見つけれないのかもしれない。
彼女の携帯にかけたが、つながらなかい。
――時間がとっくに過ぎて、花火が上がった。
電話も繋がらない。
どうしたのだろう。
家にかけると、母親が出て、
「知りません!」
と怒鳴られ、切られた。
花火が終わり、帰路につく人混みも
いなくなり、
それでも健人は待ったが、聖美は来なかった。