初恋

―健人がずっと家の前で待っていると、二階の窓が空いた。

「―百瀬！」
彼女は人差し指を口につけ、
「大きな声出さないで。聞こえちゃう」
と言った。

何ヵ月も会っていなかった気がする。

「―良かった…ようやく顔が見れた」


「―健人君…
ごめんなさい…」

聖美の表情が良く見えなかったが、泣き出しそうな顔に見えた。

「―もう、会えそうもないの」

「―どうして？
僕のこと、嫌いになった？」

聖美は黙ってしまった。


「僕は、百瀬が好きだよ。こんなことで諦められない。僕のこと嫌いになったんじゃなければ少しでも多く百瀬と会いたい」



彼女は黙って首を振った。

「―ごめんなさい」