初恋
「お願い、もう話し掛けないで」
健人と眼も合わせてくれなかった。
「やなこった」
「いいか、俺を避けようと思っても、無理だよ。
俺はもう百瀬のこと諦めないから」
「―健人君…」
「絶対、君を振り向かせるから」
彼女は周りを気にしていた。
「健人くん…みんな見てるから…」
健人は構わず続けた。
「どこまでも追いかけるから。高校ではきっとラブラブなカップルになってる。覚悟しとけよ」
周りから拍手が送られた。
「いいぞ~タケ!」
「頑張れ―」
クラスから声が上がった。
聖美は真っ赤になり、俯いていたが、はにかんだ笑顔を見せた。