初恋
それから苦しい受験勉強が始まった。
健人は必死で勉強して、成績も上がっていった。
聖美とはあまり会えずにいたが、月に一回くらい花壇で見かけ、とりとめもない話しをした。
「―俺、第一受けられそうだよ。先生にもオッケーだって」
「―健人君の行動力は凄いわね。
私には絶対真似できない」
「そんなことないよ。友達からは馬鹿だって言われた」
「―この間の教室でのことも、あんな勇気、私は持てない」
健人は聖美の手を取った。
「大丈夫だよ。
百瀬は弱い人間じゃない」