初恋
無事、健人は第一高校を合格した。
健人は聖美を呼び出した。
「俺、合格したよ」
「知ってるわ。クラスの人達も言ってた」
「どうせ、まぐれだとか、言ってたんだろ」
彼女は笑っていた。
「付き合って欲しい」
「―え…?」
「合格したら言おうとずっと思ってたんだ」
「健人君…
どうして私なんか…もっと綺麗な子はいっぱいいるのに」
「初めて見たときからずっと好きだった。君しか考えられない」
「でも、高校に入ったら、きっと健人君クラスの人気者になって私なんか目に入らなくなる」
「―それ、本気で言ってんの」
聖美は健人を見ると、少し怯えた表情を見せた。
「―俺の気持ち、分かってると思ってたけど」
「―…」
聖美は俯いていた。
「―怖いの」
「そんなこと、絶対一度も思わせない。
百瀬の本当の気持ちを知りたいんだ」
聖美は健人の眼をじっと見つめた。
そして微笑み、
ゆっくり頷いた。