初恋


「お弁当、作ったの。食べない?」

「え、マジで?食う食う!」

健人は今日絶対、聖美とキスをしようと思っていた。
聖美はここの場所が気に入ってくれたみたいで、嬉しそうにはしゃいでいた。

健人は心の中でいつ初キスをしようかずっとタイミングを伺っていた。


「太陽、沈んできてるね」
「ああ」

健人はずっと聖美の唇ばかり見ていた。

聖美はしばらく黙って日が沈んでいくのを見ている。
そして、健人をゆっくり見た。


しばらく見つめあい、健人の心臓は飛び出しそうだった。

(よし!い…今しかない!)
ゆっくり健人は聖美の唇に顔を近づけようとした。

「健人、今日ずっと上の空でしょう?」

「へ?」

「全然、私の話、聞いてくれてない」

「そんなことないよ」

「もういい」
聖美が立ち上がった。

「ま…待てよ!」
聖美の腕を掴み、健人はキスをした。

聖美は驚いた様で体を強ばらせ、

「いやっ!」


健人を突き放して、走って行ってしまった。





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