初恋
「だからって、こんな時間まで一人で待つなよ」
「何で怒ってるの」
「怒ってないよ」
「怒ってる!昨日、私が突き放したから?」
「違うよ」
「そうでしょ!あれから変だもの。健人」
「違うって」
「健人!」
聖美は健人の腕をんだ。
「私の眼を見て」
聖美は真っ直ぐな瞳で健人を見ていた。
「…あの時は、びっくりして、反射的に放してしまったの。
嫌だったからじゃないの。ごめんなさい」
健人は聖美の真剣な瞳を見て、より一層愛しくなり、抱き締めたくなった。
「いいよ、全然。怒ってないし」
そう言い、眼を放した。
真剣に言われれば言われる程自分が惨めになってくる。
健人は自分の気持ちが抑えられるか不安だった。