初恋
「お前、買いすぎじゃね?そんなに食えないだろ」
「食べるわよ。健人が」
「俺かよ?」
聖美はもともと食が細い。
普段は絶対食べない様な物を買っていた。
人混みに酔ったのか、浴衣がきついのか、少し聖美は疲れている様に見えた。
「大丈夫か?はしゃぎ過ぎなんだよ、お前」
「大丈夫、少し人混みに酔っただけ。だって楽しいんだもの」
「じゃ花火、もう少し離れて見ようか」
彼女は黙って頷き、健人の腕を組んだ。
(まるで子供みたいだな)
彼女の仕草一つ一つに愛しさが込み上げて来る。
少し歩くと、ようやく人混みが少なくなり、その変わりカップルが多かった。
「ここで良いわ」
そう言い、聖美は座った
。
空がいつの間にか暗くなり、花火の音が聞こえると、周りが明るくなった。
周りから歓声が聞こえる。
聖美も手を叩いていた。
健人は聖美のうなじばかり目がいった。