初恋

聖美は黙って健人について歩いていたが、動きが止まった。

「―聖美?」

聖美は俯いて黙っていた。
「どうしたんだよ。足が痛いの?」

黙って首を振る。

「じゃあ、何だよ、話せよ」

「…帰りたくない」

「―え?」

「―ずっと、一緒にいたいの。健人と」

「え?でも…あんまり遅くなると終電無くなるし…」

聖美は赤くなっている。

(―え?まさか…)

「―もしかして…いいの?」

聖美はゆっくり頷いた。

「…え?本当に?」
「―あんまりしつこく聞かないでよ。恥ずかしいから」
聖美は顔を手で隠した。

健人は思わず聖美を抱き締めていた。

「―何だよ…まだ駄目だとばっかり思ってた…」

「…何だよ~」


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