初恋
――そうだ…手紙…
健人は母から聖美の病気と死を告げられていた。
その時に、聖美からの手紙も貰っていた。
――そう、健人は真実を聞いていた。
今までずっと認めたくなくて
信じたくなくて
現実からずっと逃げていた。
あの時からずっと
時が止まっていた。
――健人はいつの間にかアパートに戻って来ていた。
どこに閉まってあるか分かってる。
この手紙を呼んだら、彼女の死が現実となると思い、ずっと見ないでいた。
引き出しの鍵を開けて、白い封筒があった。
(……聖美……)
涙が込み上げてくる。
―それから、
震える手で
ゆっくり封を開けた―