ちょっと短いお話集
それでも、その生命を小さな花に変えて、青と茶色だけが占めていた世界に、ささやかな赤い色を提供したのは、今日の昼の事だ。
残念な事に、花壇の花と比べてしまうと、その赤い小さな花は美しいとはとても言えない。
水分も、地中の栄養も足りず、やっとのことで作った葉も、虫が見つけて穴だらけになってしまっている。
この花を汚らしく、ちっぽけだと思う人は多いのかも知れない。
だが、今日彼女を見つけた人はそうではなかったらしい。
「こんな所に赤い花が咲いているぞ、健気で、何か気品のような物がある、そう言えば随分前にここに花の種を捨てた事があったなぁ、悪いことをした」
そう言ってその人は毛むくじゃらの太い腕をのばして、彼女の葉に止まる虫を払い落とした。
「お前がそれだとは思えないが、こんな所に居てはいけない、あの種の代わりにお前を連れて帰ろう」
もしかすると、彼女はこれから地面から掘り起こされて、豊かな水が提供される花壇に植えられるのかもしれない。
だが、もちろん彼女はそんな事は知らない、
ただ、どこに行っても懸命に咲き続けるだけだから。
残念な事に、花壇の花と比べてしまうと、その赤い小さな花は美しいとはとても言えない。
水分も、地中の栄養も足りず、やっとのことで作った葉も、虫が見つけて穴だらけになってしまっている。
この花を汚らしく、ちっぽけだと思う人は多いのかも知れない。
だが、今日彼女を見つけた人はそうではなかったらしい。
「こんな所に赤い花が咲いているぞ、健気で、何か気品のような物がある、そう言えば随分前にここに花の種を捨てた事があったなぁ、悪いことをした」
そう言ってその人は毛むくじゃらの太い腕をのばして、彼女の葉に止まる虫を払い落とした。
「お前がそれだとは思えないが、こんな所に居てはいけない、あの種の代わりにお前を連れて帰ろう」
もしかすると、彼女はこれから地面から掘り起こされて、豊かな水が提供される花壇に植えられるのかもしれない。
だが、もちろん彼女はそんな事は知らない、
ただ、どこに行っても懸命に咲き続けるだけだから。